仙台に住む私にとって大切な日が、また今年もやってきました。
今年は10年目。
せっかくなので10年前の私の出来事を記録しておきます。

 

 

区役所での体験

当時妊娠が分かり、母親になる準備として「母子手帳」の交付を受けている最中の地震でした。
出産までの説明や、不安なく妊娠期間を過ごせるように保健師さんとお話をしていた時だったっけか．．．
その保健師さんも妊娠されていて、大きいお腹が今も記憶に残っています。

 

母子手帳の交付を受けに私の他に10人ほど集まり、旦那さんが同伴なのは私だけ。
(皆一人で来てる！旦那同伴な私は子供みたいでちょっと恥ずかしいかも～とソワソワしたのを覚えています。)

 

お話を聞いているとガタガタと揺れ始め、いつもの地震だからすぐ治まるだろうと思った瞬間に激しく揺れ、建物が揺れる音、物が倒れる音、人の叫び声で私はパニックになりました。
次の瞬間冷静にも私は、「この区役所は絶対倒壊しないから大丈夫」と思った半面、近くに住む祖父母の木造戸建ての実家が一番危ない！！とパニックが増しました。

 

この揺れではビルの倒壊はないと思うけど、木造でしかも強風でも揺れるあの実家では耐えられない。
じーちゃんは昔からなんでも「大丈夫だ」で済ます人で逃げることなんてしない人。
せめてばーちゃんが「逃げるよっ」と声をかけて、どうにか避難してくれ．．．
と大きく揺れ、旦那に体を支えてもらっている間、私はずっと泣きながら合掌していました。

(正直、実家は倒壊し、じーばー死んだかもと思っていました。諦めていました。それほどの揺れでした。)

 

 

保健師さんたちは、私が地震の恐怖で取り乱していると感じ、揺れが収まった後安全なスペースで横にさせてくれました。
私よりも大きいお腹を抱え不安は同じなのに、私のケアをしてくれた保健師さんに今も感謝の気持ちでいっぱいです。

 

 

 

揺れの後の街並み

揺れが落ち着き外にでると、沢山の人が建物から出ていて道は人でいっぱいに．．．
道路は隆起し割れたガラスが散乱したりと、外でも安心はできないと感じ、祖父母の住む実家へと旦那と歩きました。

 

(実家は倒壊し煙がきっと上がっている。実家の方向を恐怖で見ることができず、旦那に実家があるか見てもらいました。)

 

旦那「家あるよ！じーちゃんが外れた扉を直しているよ！」

いつ壊れてもおかしくない木造の実家もあり、家族の安否も確認でき涙がでるほど安堵しました。

この時が、祖父と旦那の初対面に．．．

 

 

 

雪の降った3月11日

実家の無事が確認でき、私たちは2人で住む自宅が大丈夫か歩いて帰りました。
その頃、沿岸では大きな津波が沢山の人を襲っていることを知りませんでした。
雪の降る寒い道のりでした。

 

自宅につきガス漏れや火事の危険性がないことを確認した後、近くの小学校へ避難し一夜をそこで過ごしました。
なんども鳴るスマホの緊急地震速報と揺れ。
地震と同時に吠える犬たち。
みんなこの先がどうなるか不安でいっぱいでした。

 

 

地震後の生活

情報がなく誰かと一緒でないと不安感でいっぱいな日々。
家族、親戚は実家に集まり、みんなで過ごせました。

(実家はプロパンガスなので幸いなことにお風呂に入れました。離れた親戚もお風呂に入りに来て実家はにぎわいました。不安な生活でも親戚に会えたことやおしゃべりができたことが心を温かくしてくれました。)

 

電気が通るとテレビが映り、津波が襲った事実、海岸に多くのご遺体があがっている事実に、衝撃と地震の規模の大きさを初めて知りました。
その後は、親戚のだれだれが流され見つかっていないだの、高校の時のだれだれが遺体でみつかっただの、嫌な情報がはいってきました。

 

 

震災から思う事

それは亡くなった方の分も一生懸命生きる事。
遺族の方、亡くなった方が教えてくれた教訓を忘れず、もしものときは必ず実行すること。

 

生きていくと色々な事で悩み、怒ることがあるかもしれない。
でも今日同じような震災が起きたら？
明日大切な人が亡くなったら？

 

そう考えると思考や行動は少し変わるかもしれない．．．
いつもより優しく、そして一生懸命に生きれるかもしれない、後悔しないかもしれない。

 

私は震災で被害にあった方の無念や恐怖を無駄にしないで生きていくと、改めて決意しました。